「山を駆けるエンジニア」

 お客様からお送りいただいた本を買い取り、倉庫で保管し、販売する。バリューブックスで行なっている仕事の裏側では、たくさんのプログラムが動いています。日々、エンジニアチームが様々な課題に挑戦しているのですのが、今回はその様子をちらりとご紹介します。

 今回インタビューに応えくれたのは、新潟より移住&転職をしてきた相良さん。上田での暮らしぶりも含めて取材するため、太郎山(上田のソウルマウンテン!)の山頂で話を聞きました。まだほの暗い朝6時、眠気まなこをこすりながらの出発です。防寒着の下で汗ばみ、湧き水で喉を潤しながら、やっと山頂が見えてきました。

話し手:相良(バリューブックス エンジニア)
聞き手:飯田(バリューブックス 編集者)

—— いやぁ、疲れた。相良さん、お疲れ様です。

お疲れ様でした。

—— とはいっても、相良さんは僕と違って一往復半ですものね。あらためて、すごい。これが習慣なんですか?

そうですね。でも、毎日というわけじゃないんですよ。週に2回ぐらい、太郎山を2往復しています。ふもとの自宅で汗を流して、そのまま出勤です。

—— 聞けば聞くほど、ストイックだ。「スカイランニング」のトレーニングなんですよね。

はい。スカイランニングは、簡単に言えば身軽な服装で山を登るスポーツです。今日みたいな日は天気もよくて、トレーニングも気持ちいいですね。

—— こうした登山は昔から?

出身は新潟県で、高校生の時に山岳部だったんです。それが始まりですね。

—— そうか、相良さんは新潟の出身でしたね。

地元 新潟から上田へ

大学までは新潟にいて、最初の就職もそのまま地元でした。情報工学を学んだあとに、エンジニアになって。転職を機に上田へやってきたんです。

—— 上田の住み心地はどうですか?

移住して2年ですが、上田に慣れてきたのは最近なんです。気候の変化もあって、たとえば冬は上田の方が新潟より寒いんです。新天地でしたし、体のチューニングに時間が必要だったのかな。でも、晴れの日が多いですし、田舎過ぎず、暮らしやすい土地柄ですね。

—— 同感です。たくさんの温泉に囲まれているのも嬉しいポイントですよね。

ですね。山を降りたあとに温泉に行くこともあります。そのまま出社するので、もしかしたら硫黄くさいかも知れないですけれど(笑)

—— 上田に来たきっかけは転職なんですよね。そもそも、どうして転職を?

新潟では今よりも大きな会社で働いていたんです。拠点も複数あり、私のいたところでは50人ぐらいが勤めていました。7年ほど勤めていたんですが、だんだんと違うことがしたくなってきて。

—— というと?

そこでは、自社でソフトをつくっていたんです。なので、ソフトが売れると自然とそれだけに注力する形になってしまって。それで、新しい仕事を考え始めたんです。

—— 転職活動はどのように始めたんですか?

まずは地元で探しました。数社は面接までしたんですがしっくりこなくて。思い切って、県外に出ようと決めました。でも、東京は難しいと確信していました。

—— え、どうしてですか?

山がないからです。

—— そうか!山が基準なんですね(笑)

そうなんです(笑)なので、富山や静岡も検討しました。そのうちに、上田が考え始めました。上田は、太郎山の登山競争で2回、来たことがあったんです。馴染みもあるので、改めて上田もいいな、と思い始めて。

毎日2万冊の本が届く倉庫のシステムを支える

—— その中で、どうしてバリューを選んだんですか?

前職はちょっと堅い会社だった、というのもありますね。バリューは自由な雰囲気もあって、私服でも問題ないですし。本も好きだったので、そういう面でも合っていました。登山に打ち込むには、時間の自由が得やすいのも嬉しいですね。エンジニアという仕事は、得てして残業が多いものですから。

—— 相良さんは、仕事終わりにNABO(バリューブックスが運営するブックカフェ)に寄ったりしますよね。NABOでは貴重な、ビールを注文するお客様。

時々ですけどね(笑)でも、そんな風に働きながら、気がつけば2年も経ちました。もっと長かった気もするんですが、濃密な時間でしたね。

—— 相良さんは、社内では具体的にどういう役割を担っているんですか?

お客様の本を扱う、倉庫のシステム開発が中心ですね。買取のサービスと倉庫が連携できるようにしたり、本の査定結果をカスタマーの部署が確認するためのアプリをつくったり。基本的には、裏方が多いですね。それだけでなく、商品の販売価格を決めるプログラムを改修する、なんてこともあります。

—— 仕事の割り振りはどのように決めるんですか?

役割分担は、明確ではないけれど緩やかに決まっているんですよね。それぞれが得意なものもありますし。仲間と相談しながら、ですね。

—— 自然と決まっていくんですね。チームの雰囲気はどうですか?

よいですよ。もちろん、「今が最適か」なんてことは分からないけれど、うまく回っていると感じています。それぞれがプライベートを大事にしつつ、時には参加自由のBBQが開催されたり、ほどよい空気感ですね。

—— それは、システム部に限らず社内全体に言えそうですね。ゆるい連帯感というか。ちなみに、リモートワークの人はいますか?

今はいませんが、可能だとは思います。もちろん、手がける内容やコミュニケーションの方法など、課題はあります。そこは一緒にクリアしていく必要がありますが、十分いける気がしますね。

—— バリューは人に勧められますか?
正直、その人によると思います。

—— 日々の仕事を客観的に見た時、もし知り合いのエンジニアに「転職を考えているんだ」と相談されたら、どうでしょう。バリューのことは推せますか?

正直、その人によると思います。

—— 人による?

はい。「自分がどういう風に働きたいか」によると思うんです。時間の自由は得やすい環境です。でも、あるひとつの技術に特化するような、研究職に近い働き方は難しい。様々なことに手を出す場面が多く、決まり切ったことができないですから。大きな会社であれば、チームに分かれ、マネージャーの下につくという形が多いですよね。そうすると、細分化して渡されたものをしっかりこなす、というのが大事になる。でも、バリューブックスはそうではない。裏を返せば、やりたいことがあれば何でもできる、とも言えますけどね。

—— 良くも悪くも裁量の大きい環境、ということですね。ちなみに、相良さんのこれからやりたいことは何なんですか?

うーん、難しい。いろいろやりたくて(笑)でもやっぱり、倉庫で使用しているプログラムをもっと強化して、使いやすくしたいですね。現場から上がってきた声に応えるのが好きなんです。喜んでもらえたという実感も得やすいですから。

—— ああ、確かに。それだと自分の仕事の手応えを得やすいですよね。会社の課題として思うことはありますか?

若い会社なので、課題は尽きないですね。むしろ、それを解決していくのが楽しくて。もちろん、安定してないとも言えます(笑)でも、「ないもの」を探してもキリがないです。不満があれば、それを解決していく側になるのが大事ですね。また、そうした作業をひとりでやらないといけないわけではない。チームとして、仲間と一緒に取り組んでいけばよいと思います。

—— 一緒に、か。本当にそうですね。相良さん、今日はありがとうございました。太郎山からの眺めも素晴らしくて、おかげさまで愉しい時間になりました。

こちらこそ、ありがとうございました!