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2020-03-19

言葉の宝石

 

「それぞれひとりひとりが、くっつき過ぎないという引力を持って、まわっていてくれる幾つかの人の惑星を持つ、独立した太陽であること。こんがらがってしまったら落ちついて思い出そう。静かな、天体としてのわたしを。」

『たのしいふゆごもり』などの絵本を書いた、詩人の片山令子さんによる、詩とエッセイの本。装画は夫である片山健さんが手がけ、まっすぐ素直な黄色がとてもきれいな表紙です。

この本は、片山さんがひろいあつめた宝石のような言葉であふれています。宝石といっても、高級なジュエリーといったものではなく、波にけずられたガラス片や、貝がらや、きれいな鳥の羽といったようなもの。自分だって知っていた言葉なのに、こんなにきれいなものなんだって知らなかった、そういう発見の喜びに満ちた言葉ばかりです。

片山さん自身がこの本で書いている言葉のつかいかたを読んで思うのは、世界中にたくさんある絵本というものの言葉が、どんなにていねいに選びぬかれていつかのわたしに与えられていたか、ということです。見ず知らずのたくさんのやさしい大人たちが、そのひとの生きた人生を糧にして、いつか子どもだったわたしに与えるべきことばを選んでくれていた。そのことに、いまさらうれしくなって、なんだかたくさん泣きました。

だいたいのエッセイや詩は2~4ページくらいの短いものなので、どこから読んでもよく、寝る前にひとつだけ読む、という1日の終わりの楽しみにすることもできます。

こころが「しん」とする、ずっと大切に持っていたい本です。

 

 

『惑星』

片山令子(著)

港の人 (2019/10/25)

posted by 池上 幸恵

バリューブックスが運営する本屋「NABO」店長を経ていちど退職、その2軒となりの店舗「バリューブックス・ラボ」スタッフとして復活。
会社ではたらきつつ、自分で作った土偶の展示販売、イラストの仕事など受けて暮らしています。

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