EndPaper

本に触れる。
その小さなきっかけを届ける
ウェブマガジン。

2019-09-06

バリューブックス・インターン滞在記 「捨てたくない本」のゆくえーOFF本の後先ー

 

 

こんにちは、そして初めまして。この夏の一ヶ月、バリューブックスにインターン(企業体験)でやってきた小村と申します。

 

 

今回の記事では、

・なぜ僕がバリューブックスへインターンに来ているのか

・本はどのように査定されているのか

・買い取れなかった本は、その後どうなっているのか

について書いていきます。

 

 

まずは自己紹介を兼ねて、僕がこれまでどのように本と関わって来たのかについて。     

 

    

これまでの本との関わり

そもそも僕は、石川県金沢市にキャンパスがある金沢美術工芸大学に通いながら、オヨヨ書林という古本屋さんでアルバイトをしています。

 

本が好きで、「本に関わる仕事がしたい」「バイトでもいいから、本の現場を知りたい」という思いで働きながら、卒業後の進路も考えつつ過ごして来ました。

石川県金沢市に2店舗を構えるオヨヨ書林。写真は、僕がアルバイトしている「せせらぎ通り店」の店内。

 

 

古本屋で働くうちに、一冊一冊の本を丁寧にクリーニングする作業や、お店に並ぶ沢山の本を見て、買ってくださるお客さんの嬉しげな反応の全てに、「本を売る」ことの喜びが詰まっていると感じるようになりました。

 

 

「本」と「お客さん」の間に立ち、一旦は誰かが「不要」と判断した本が、また次の「誰か」に着実に渡っていく現場に立ち会うことが、自分にとっての喜びである。

 

大学を出てからも、本を売る仕事がしたい。

 

オヨヨ書林での経験によって、そういう思いが生まれてきました。

 

 

なぜ、バリューブックスへインターンに来ているのか

 

オヨヨ書林でのアルバイト代はほぼ全て本に使おうと決めている僕は、書店だけではなくAmazonで本を買うこともあります。

 

買うのは大体が古本なので、できるだけ安くて状態の良いものを買うようにしています。

 

ある日、いつものようにAmazonから届いた袋を開けてみると、納品書のウラにその名の通り「納品書のウラ書き」と題した書評が掲載されていました。

 

 

「なんだか面白いことをする会社だなあ」と思いホームページを検索してみると、

 

インターネットでの古本の買取販売のほか、「せどり」ができるアウトレットの古本屋やブックカフェを運営していること、バスを使って日本中に本を届けるプロジェクトを実施していることなど、「本」を通じた社会貢献を目指している会社だと知りました。

 

 

同時に、1日に届く約2万冊の本のうち半分の1万冊近くが古紙回収に回っていくという事実も知り、唖然としてしまいました。

 

 

 

 

「廃棄してしまう本だけでつくったお店があっても、そんなにたくさんの本が廃棄になってしまうのか……」 

 

「少しづつでも、古紙回収に回る本を減らすことはできないのか……」

 

 

 

そういった思いを抱いた時、バリューブックスで働いてみたい。自分の少ない経験でも、何かできることはないだろうか、と強く思ったのでした。

 

 

そんな訳で、この夏の一ヶ月間、インターンという形でバリューブックスにやて来ました。

 

インターンに来てまずやったのは、バリューブックスの根幹である倉庫での作業でした。

 

 

 

 

送られて来た本を仕分け、査定し、出品し、発送する。

 

ここでは、本の情報をパソコンに読み込ませ、Amazonでの価格や買取価格を、本の状態をもとに決めていきます。

 

 

ここで僕が衝撃を受けたのは、自分が800円や1000円で買っていた本が、容赦無く買取不可になっている、ということでした。

 

 

本の状態が悪かったり、市場での在庫が飽和状態にあったり、様々な理由で買い取ることができなかった本(通称:OFF本)は、その後どうなってしまうのか……。

 

気になった僕は居ても立っても居られずに、OFF本のゆくえを追ってみることにしました。

 

捨てたくない本のゆくえ

 

 

査定時に値段がついたものは配架され、お客様の手に渡る機会を今か今かと待っています。

 

 

一方で、このコンテナの中にある本は全て、買取査定時に値段がつかず、買い取ることができなかった本です。

 

 

値段がつかずに買取「不可」になってしまった本たちは、「不可ケース」と呼ばれる青いケースにまとめられ、最終的には各種プロジェクトのための選書を経て、このコンテナに放り込まれていくのです。

写真左に積み上げられた「不可ケース」。

 

 

 

 

これらの本は、以前の飯田さんの記事「本が命を終えるとき—古紙回収のゆくえを追う—」にあるように、古紙回収に回っていきます。

 

もちろん買い取れなかった全ての本が古紙回収に回っていくわけではなく、

 

 

たとえばBOOKGIFT Project.では、学校、保育園、養護施設などの子どもと若者が集まるところや、老人ホーム、介護施設、病院、NPOなど、本を必要としている人のもとへ、面白くて、役に立つ本を選んで届けています。

 

 

 

 

 

これに関連して、まだまだ読める本を次の「誰か」へと着実に届けるための取り組みが行われ、それでもなお行き場の無かった本たちが古紙回収へ回っていきます。

 

 

BOOKGIFTを含む、「捨てたくない本」の活用は、大きく分けて3つあります。

BOOKGIFT

2018年7月より稼働し、本を乗せて無書店地域や被災地、アルプスブックキャンプ等のイベントへの出店を通して本を届けるBOOKBUS(ブックバス)との連動もあり。

 

 

古書のリユース

yahooオークションへの出品、他企業への卸、神田の古書市への出品などを担う。1年ほど前に発足したチームで、これまでは古紙回収に回っていた本の新たな販売方法を模索。

 

value books lab.バリューブックスラボ

もともとは「ライブラリーラボ」として、古紙回収に回ってしまう本を集めた図書館としてスタート。現在は、古紙回収に回る本を定期的に選書しアウトレット価格で販売している、街の古本屋さん。

 

本の「入口」と「出口」

 

こうした選書は買取査定後のことであり、いわば「出口」での取り組みです。「出口」では、「買い取れなかった」本をいかに次の誰かへと繋いでいくか、ということが大きなテーマになっています。

 

 

一方で、送って頂いた本を査定する「入口」の側があります。

 

 

ここでは、せっかく送って頂いたのに、買取ができない本がある……という問題があり、こうした問題に対し、バリューブックスでは、送って頂いた本をできるだけ多く買い取るために送料の有料や、おためし査定というシステムを設けています。

 

 

このふたつのシステムによって、買い取れる本をしっかり買い取り、査定額を事前に予想できます。

 

 

こうした「入口」と「出口」での取り組みを以ってしても、それでもまだ多くの本が古紙回収に回ってしまう。

 

「この本を、どうにかして救いたい」

 

古本屋でのアルバイト経験と、本が好きな気持ちだけを抱えて上田にやってきた僕には、どうしてもそんな考えが浮かぶのでした。

 

 

そこで倉庫業務の合間を縫い、コンテナの中で選書してみると、思った以上にまだまだ行き場のありそうな本が出てきました。

 

 

 

 

 

これらの本は決して「ベストセラー」と呼ばれる本とは限りません。恐らくはAmazon上にカタログが無かったり、ISBNが無かったり、本の状態が悪いためにAmazonでは値段がつかなかったり……。

買い取れない理由は、市場に商品が溢れているだけが理由ではありません。

 

 

 

 

ここであげたような本が届くということは、こうした本を「買う」人、「売れる」と思う人が一定数いるということ。

それが古紙回収に回ってしまうのは、やっぱりもったいないと感じてしまいます。

 

 

 

 

これまでに僕が選書した多くの本はラボの本棚に並び、売れていきました。

8月13日から8月15日の間には実際にラボのお店番をし、どんな本が売れていき、逆にどんな本が売れていないのかを自分の目で確かめました。

 

まだ棚に並べずに残してあるものは、古書市や卸に役立てば、と思っているところです。

 

 

 

徹底した作業の効率化と、倉庫スタッフの方々の、日々の努力の積み重ねを以ってしても買い取ることができない本に対して今の僕ができることは、諦めずに本をレスキューし続け、次の「誰か」の手に渡るための可能性を少しでも残し続けることです。

 

 

次回の滞在記では、ラボに立った3日間のことを書こうと思っています。

 

 

 

それでは第2弾をお楽しみに!!

posted by 小村宗大郎

夏休みを使って、バリューブックスで一ヶ月間働いています。
value books lab.の3階に住みながら、上田周辺で考え中。古本はたのしい。

BACK NUMBERCLICK FOR ALL