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2019-05-02

抱きしめたいえほん「父から君たちへ、贈りたい本」

 

バリューブックスでは、たくさんのお母さん・お父さんがはたらいています。

「抱きしめたいえほん」は、そんな本屋さんではたらくお母さん・お父さんからのえほんのお便り。

 

今回のテーマは、「父から君たちへ、贈りたい本」

春らしいほがらかで楽しいイメージとは、少しだけ離れているかも知れません。

 

でも、何かが新しくなるときは、新鮮なものに出会う楽しさと同じくらい、不安で胸がいっぱいになるもの。

そんな気持ちに応えてあげる、3冊のえほんを選びました。

 

 

 

君らしくいることを、応援したい —『はじまりの日』

 

 

個人的な話になってしまうのですが、2年前に離婚をし、離れて暮らす子どもたちがいます。

『はじまりの日』と題された本を手に取った時、遠くに暮らす彼らを強く思い起こしました。

ボブ・ディランの『Forever Young』という歌を絵本にした本書。幸せを感じなさい、やりたいことをやりなさい、というメッセージを決して押し付けることなく歌い上げています。

僕自身、”子どものためを思って”夢を持つことや、目標を掲げる大事さを語ったりしていたけれど、今振り返るとそれは親の願いの押し付けでもあったのかなと、少し反省してしまいます。

君は君のままでいい。そして、僕は君が幸せになることを願っている。

次に会う時があれば、そんな思いと一緒にこの絵本を手渡したいです。

 

『はじまりの日』
作: ボブ・ディラン
絵: ポール・ロジャース
訳: アーサー・ビナード
岩崎書店

 

きみの夢はきみが追いかけるんだ — 『おおきくなったらきみはなんになる?』

 

 

この本も、子どもの「なりたい」を応援してくれる1冊です。

花を観察するのが好きな子、本を読んでどきどきする子、大きな声で歌うのが好きな子。

みんなの興味はそれぞれ違うけれど、好きな気持ちにまっすぐ向き合うことで、自分だけの大切なものを見つけることができる。

大人の僕だって、自分の行動が正しかったのか、日々悩んでいます。

世の中の空気や、誰かの期待に沿って時間を過ごすのではなく、自分のしたいと思ったことに素直に挑戦する。

それは勇気のいることだけど、とても大切な気持ちであることを、大人である今だからこそ力強く伝えられる気がしています。

 

『おおきくなったらきみはなんになる?』
文:藤本 ともひこ
絵:村上 康成
講談社

 

再会を待ちわびながら、毎日をまっすぐ生きていく — 『チックタック 約束の時計台』

 

 

『チックタック 約束の時計台』は、タイトルの通り時計台が舞台。

主人公のチックタックはニーナという女の子と出会い、夜中の12時に時計台で落ち合うことを約束します。

しかし、とある事件が起きて約束の時間に来られなかったニーナ。すると、それを知ったかのように時計台も11時59分で時を止め、チックタックはそこで何年も彼女が来るのを待ち続けていくんです。そして、長い長い時間が過ぎてしまったあとに、ふたりは再会を果たす。

この本を読んで、僕は「焦る必要はないんだ」と、感じ入ったんです。

会いたいけど、会えない。そんな気持ちで、僕は離れて暮らす子どもたちのことを思っています。

でも、焦らず、「もう会うことないんだ」なんて自暴自棄にもならず、前を向いて日々の生活を営んでいれば、きっとどこかで再会できる時が来るんじゃないか。そう、考え始めたんです。

時計台の針がいつ動き出し、12時の鐘を鳴らすのかは分からないけれど、その日を待ちわびながら今日という日をまっすぐ生きていこうと思います。

 

『チックタック 約束の時計台』
作:にしのあきひろ
幻冬舎

posted by 飯田 光平

株式会社バリューブックス所属。編集者。神奈川県藤沢市生まれ。書店員をしたり、本のある空間をつくったり、本を編集したりしてきました。

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